雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

浸透圧

 

 土の匂いがする。暖かいから今日は、風がつよく吹くあいだはガラス窓に、風が静まってからは網戸にして過ごした。夕方。薄暗い部屋の中に土の匂いがする。

 

 冬の匂いとは違うみたい。なにが違うのだろう。もしかしたら土の匂いではないのかもしれない。冬眠から目を覚ました微生物が宙を漂っているのかも。もしくは湿度。芽吹きはじめた緑の匂いも混ざっているか。

 

 外が暮れていく。空は薄明るい。部屋の灯りは消している。外と部屋の空気が一緒になる。「浸透圧」という言葉を思い出す。理科の授業で習ったかな。匂い、明暗、温度が外から浸透してくる。それなら網戸が細胞の膜ということになる。

 

 指先の匂いを嗅ぐ。昨日、草むしりを沢山した。爪の間に入った土を入念に洗って、けど、帰りの電車のなかでも指先からは土の匂いがした。今も土の匂いがするような、いや、これは外の空気の匂いなのか。

 

 浸透圧。握手をすると、相手の細胞と自分の細胞が僅かに交じり合うと読んだことがある。浸透するのだろうか。それならこの指先には今、昨日の土や草の細胞が浸透しているのだろうか。

 

 僕が死んだらこの身体は土に浸透する。それで春になれば、土の匂いが風にのるだろう。死んだら風になるというのは本当なのかもしれないと思うなどした。 

 

不可幸力

 

 誰かへ向けて決意表明する必要があるのだろうか。成果だけを見てもらえば、それでいいんじゃないのかな。割愛しよう。します。

 

 雨が降っていて、今夜はとても冷えこんでいて、空気に背中をさらすと凍えて息がはやくなってしまうから、首元まで布団を引き上げてじっとしている。そうすると熱い。平熱36.5度ある人間なので。気温差で鼓動が乱れる。

 

 二週間ほど前に読んだあるブログのある記事のが心に残っている。前回の読書履歴の報告記事は別として、この二週間はその記事の影響でブログを書かずにいた。

 

 何を書いたらいいのだろう、なんて2015年にはてなブログを始めてから何度も考えたことだから今さら目新しい結論は特に得られないが…書き方を戻そうかなと思ってる。

 

 戻すというと、このブログが「屑の赤裸々」というタイトルだったころまで、あのころの自分の文章は嫌いだが、今の自分はあのころの自分とは違うから、同じスタンスでも昔より良い運用の仕方が今ならできるような気がする。

 

 僕を残さなければ、私を残さなければ、俺を残さなければ、勿体ないのかもなと件のブログを読んで思った。僕も証を残そうかと思って。

 

 こんなに影響受けたからよほど引用しようかと思ったが「急に引用されたら迷惑かな、迷惑だよね、迷惑に違いない」の臆病者三段活用で断念した。まあいいやね。ブロガーらしいことは僕には向いてない。

 

 足が冷えて眠れない。ブログを書いているうちに温まるかと期待したがまだ冷たい。平熱36.5度あるのにな。関係ないのか。

 

 ため息がでる。本でも読めばよかったか。昨日、帰りに本屋へ駆けこんで(乗る電車の到着の5分前だった)早瀬耕さんの『未必のマクベス』を買った。前から存在は知ってて読まなかったのが、昨日唐突に「読むなら今だ!今しかない!」と思った。

 

 それで読んでみたらあまりにおもしろくて本を読む姿勢が前のめりになった。600ページもあるわりに早めに読み終わりそう。

 

 いい本の買い方ができた。もう好きな本だけ読もう。自分の感性に引っかかったものだけ読もう。現に昨日の直感は正しかったわけだし。私は私になろう。他人の精一杯を片手間でやろうとするのはよそう。

 

 足が温まってきた。

 

 

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 最近Vaundyさんを知ってハマってる。

 

 

不可幸力

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未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

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