雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

#16

 ラジオからクラシック音楽がながれてきた。ベルリオーズのラコッツィ行進曲。全く知らない曲だった。なんとなく聴いていたら、突然、6年前まで暮らしていた街の景色が思い出された。銀杏並木の坂の途中にある横道。団地の裏手にある道で、道の片側は団地のフェンスで、もう片側は駐車場だった。駐車場のさきは覚えていない。緑が多く、道の奥は木陰になって見通せなかった。それだけの景色だ。特に思い入れもエピソードもない。クラシック音楽とも関係ない。どうして思い出したのかわからない。わからないけど、思い出したら大切な景色だったような気がしてきた。ラコッツィ行進曲はいい曲だった。

 怒りすぎて頭痛がする。口にだして怒ったわけじゃなく、頭のなかで延々と絶叫していた。自分も他人も憎くて仕方ない。怒りがおさまらない。その怒りを口や行動に移せる日がきそうにない。自殺なんてしなくても怒りで自分を殺せる気がする。