雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

#37

 映画の『ジョー・ブラックをよろしく』を見はじめた。時間がなかったから冒頭だけ見た。若いころのブラット・ピッドがあまりにも美青年でびっくりする。この映画が公開されたのは1998年頃。僕は幼稚園児だった。そう思うと、映画を観ながらノスタルジーがわいてくる。住んだことはおろか、見たこともないのに、当時のアメリカの街並みが懐かしかった。ノスタルジーって本当にいい加減な感覚だと思う。

 住んだことのない土地や風景に抱く偽物のノスタルジー。今日は海辺の風景が頭に浮かんで、やっぱり偽物のノスタルジーを感じた。おそらく、風がつよかったから「風がつよい→風にあたって肌が疲れる→泣いたあとの感覚に似てる→涙は海水に似ている」の連想で海が思い浮かんだのだと思う。それと昨日、中田永一乙一)の短編『なみうちぎわ』を読んだことも影響していると思う。住んだこともない海辺の田舎町が思い出されて『懐かしいな』と思った。関東平野の真ん中で生まれ育ったから、海とは無縁の幼少期だったのだけど。でも懐かしい。豊かなことだと思う。

 書きながら気がついたのだけど『ジョー・ブラックをよろしく』と『ブラック・ジャックによろしく』はタイトルが似ている。なにか関係があるのだろうか。