雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

#7

 先週、先々週と忙しなかったけど今は落ち着いている。小休止という感じか。来月からまた落ち着かなくなると思う。今のうちに済ませておきたいことが沢山あるのだけど、どれも手につかず、ぼーっと外を眺めてしまう。

 言葉が滑る感じ。いつものやり方が自分に通用しない。これはなんだろうと不思議に思う。今まで大切にしてきたものがどれも大切でなくなってしまった。これが一番近いかもしれない。心がうごかない。それがすこしも虚しくなくて怖い。怖い、は頭で思ってる。心は怖いと思っていない。

 人生を飾りたてていたものを捨ててしまったのかもしれない。なにもない人生の、なにもないところがよく見える。人生の隣りをいつも空想が並走していた気がする。小説や音楽や映画や漫画がそれを養ってくれた。空想は空想だけど現実を生きるための確かな支えだった。本物の景色を見ながらどこか違う景色のことを考えた。もうひとつの人生なんていう暑苦しいものではなく、自分も他人もいないような、空き家みたいな景色や物語を空想していた。それが最近なくなった。できなくなった。そのことが関係しているのかもしれない。

 明日死んでも気がつかない。こだわりがない。社交をしている自分を遠くに見ている。悲しくもなく楽しくもない。感情がない…わけでもなく、昨日ドラマを見ていたら、なんでもないシーンで涙がにじんだ。登場人物が食事をとっているだけのシーンだった。自分がわからない。違和感があるから早くわかりたい。