雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

#6

 変化のない毎日を嘆いていたら突然いろいろなことが起きた。いろいろなことが一度に来た。疲れた。嵐のように気持ちが荒れたけど、余裕がなくて言葉にすることもできなかった。生活は変わった。これを機会に自分の望むほうへ動きだしてみたけど、上手くいくかはわからない。全て裏目にでて潰れる可能性もある。そうしたら生きていられないな。

 一人にいつまでも慣れない。「孤立と孤独は違う」という話がされるとき、たいてい苦しいのは孤立のほうで孤独は自分を豊かにするものと言われるけど、孤独も普通に苦しいなと思う。孤立は慣れるけど孤独は慣れない。個人的にはそう。今はそう感じる。いやどうだろう。やっぱり孤立もつらいな。どちらもつらい。区別がついていないのかもしれない。この前までついていたかな。今だけわからなくなっているのかな。

 先日、小中時代の同級生と再会した。8年ぶりの再会だった。別人のようになっていて驚いた。かつて僕の体に青痣をつくって喜んでいた男と同一人物だとは思えなかった。愛嬌と、年相応の落ち着きがあって接しやすかった。毒気が消えていた。幼さはもちろん、若者にありがちな虚勢やプライドもなく、柔らかい雰囲気の大人になっていた。27歳の大人は“しっかりしてる”だけじゃダメなのかもしれないと思った。2年前に結婚して、すこし前に車を買い替えたらしい。そんな彼に妬みも憎しみも感じなかった。自分を虐めていた人なのに。学校に包丁を持っていって、彼を刺してしまおうと考えたこともあった。刺さなくてよかった。彼のことをもう憎んでいないことがわかって、それとは関係なしに、あのころの苦しみを認めることもできるとわかった。許した、というのとは違う。僕が殺したかった彼はもういないということ。僕はお酒を飲んでいたけど、そういえば彼は一滴もお酒を飲んでいなかったような気がする。酔えばあのころの彼が現れただろうか。確認のしようがないし確認しなくていいことだとも思う。