雪になりたい椿の日記

雪になりたい椿の日記です

#17

 頭のなかは、いつも他人の顔や声が飛び交っていて、それに対していちいち反論していて、うるさい。他人の顔や声はどれも自分にたいして批判的だ。重箱の隅をつつくようなことを言う。自分のなかの他人のイメージがそうなんだろう。他人は自分のことを憎んでいる。存在自体が気にくわないから、常に批判の機会をうかがっている。もちろん思いこみだと思う。他人を悪いように内面化しているんだと思う。父親の影響が大きい。父は常に誰かを責めている。ずっと怒っていて機嫌が悪い。必ずルールや正義を盾にして他人を責めるのでたちが悪い。ルールやマナーは守るが、モラルがない人で、支配的。父を内面化してしまったのが大きい。どこにいても父がいる。ずっと父に監視されているようで気が抜けない。自覚してからはますます苦しくなった。思いこみや内面化はどうやって克服すればいいんだろう。父は、僕が父を内面化していることを、やめてほしくないだろう。そう想像してしまって解決への行動もままならない。こういうことを書いているあいだにも想像上の父にずっと責められている。思考が断続的。内面化した父を排除したい。道のりは長く険しい。

 自尊心なんてあったものじゃない。尊ぶべき自分が見つからない。他人を内面化している、他人は自分を憎んでいる、という思いこみは結局、自分が自分を憎んでいるんだよね。という考えなくても出せる結論に語彙が奪われる。「だからなんだ」という役に立たない真実。自分が自分を憎んでいるのはどうしてなのか。人間が自分一人で自分を憎むことはできない。そこには必ず他人の存在がある。誰か、自分を理不尽に責めたり憎んだりする他人が身近にいたんだろうね。だからなんだ。楽しく、他人を気にせずに生きていられたらそれが一番いいけど、実際そういう精神状態ではない。嘘はつけない。本当はそう感じていないのに、自分は恵まれてる、いまの環境に感謝、人生前向きに、他人なんて気にしない、と嘘に嘘をかさねて自分を圧迫してしまったら、いつか最悪の形で潰れるか爆発すると思う。不真面目でいいんだ、テキトーでいいんだ、というお利口な答えを真面目に答えるたびに、亀裂が入るような自己嫌悪をする。